平成22年7月20日
社団法人 不動産協会
加盟各社ご代表様
拝啓 時下ますますご清祥のことお慶び申し上げます。
平素は、貴社における住宅あるいは都市開発等の事業のなかで、専門工事業であります当会会員企業へのご指導、ご支援を賜り厚くお礼申しあげます。
さて、当会「社団法人大阪府建団連」は、建設業の専門工事業団体で組織された法人ですが、ご承知のように建物を建てるには様々な職種の職人が、それぞれの専門分野の技能を発揮して共同で作業を行います。こうした職種別の組合が集まって、昭和38年(1963年)に(社)大阪府建団連として設立し、今日に至っており、専門工事業者の社会的地位向上、若い人の入職促進や技能労働者の育成、労働災害防止などにも力を入れて取り組んでおります。
良質なものを国民の皆様に提供していくためには、設計や施工監理は勿論のこと、建設工事現場で直接施工を担う職人の腕を抜きに考えることはできません。
ところが、最近この職人の腕が落ちてきているのではないかとの懸念が呈されており、職人を育成していく立場にある私どもも残念ながらそれを否定することはできません。では何故職人の腕が落ちてきているかと言えば、今の職人が置かれている環境に大きな原因があります。
簡単なデータですが、国土交通省の統計で今の職人の状況を申し上げますと、技能者の平均賃金は全産業平均に比べて約140万円低く、労働時間は240時間長いという中で、年収が300万円にも満たない職人が多く存在します。その結果生活ができないため離職者が増加し、入職者の減少が続いています。そのため、50歳以上が40%を超え、30歳未満が14%未満と年齢ギャップが非常に大きくなっています。この年齢ギャップは職人の技術・技能のレベル低下を引き起こし始めています。職人の技能低下は、そのまま施工能力の低下につながり、現場での段取りでの不手際でコストが高くなったり、施工不良を発生させたりなど、結果として、建築物の質の低下を招き、良質な建築物の提供を妨げることになってきます。
このような状況になってきている原因の一つが、現在建設業界で横行しているゼネコンのダンピング受注であり、そのしわ寄せが現場で施工を担当する下請工事業者に及んでいます。下請工事業者は、企業の生き残りのために、直接雇用をしていた職人を解雇せざるを得なくなり、その代わりの職人の調達は「外注化」(2次、3次への再下請)を余儀なくされ、その結果、上記のように職人の労働条件が悪化し、優秀な職人の離職を増大させるという悪循環に陥っています。
こういった悪循環を早々に断ち切る必要があります。公共発注の場においては、総合評価方式に優秀な技能者を有する下請建設業者を使用した場合には加点評価する制度が実施されております。(北海道開発局、国土交通省の関東・中部・近畿の各地方整備局、長崎県、UR都市機構)。
私ども(社)大阪府建団連としては、今の受発注価格について私共なりの思いはありますが、それについて口をはさむ所存はございません。ただ、良質な建築物の提供のためには、「腕」の良い技能者「職人」が必要不可欠であることをご理解いただき、建設工事のゼネコンへの発注に際しましては、先の公共発注機関同様、下請建設業者に優秀な技能者(職人)を一人でも直接雇用している企業が選定され、優秀な職人を建設現場に配置するようご指導いただきたくお願い申しあげます。
良質で価値ある建築物を提供していくためには、その施工を担う優秀な技能者(職人)を欠いては実現できないことをご理解賜りますようお願い申し上げます。
敬具
社団法人 大阪府建団連
会 長 北 浦 年 一
(担当)社団法人 大阪府建団連
事務局 小原
TEL 06−6946−2131
FAX 06−6946−2133 |
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