近畿地方整備局幹部と建設産業専門団体連合会会員地方支部長との第12回意見交換会が7月12日、大阪市内のホテルで開かれました。

 開会にあたり、才賀清二郎建専連会長は「建設産業戦略会議が発表した『方策2011』では保険加入の問題などが提起され、建専連、ゼネコン、国が三位一体となって取り組むことになった。これが民間工事も巻き込んだ動きになれば建設業界を変えられると確信している。建専連は異業種の集まりで一本にまとめるのは難しかったが、ここ数年は現場で働く労働者の問題で大同団結することが多くなったと感じている」とあいさつ。

 北浦年一近畿建専連会長は「新しい時代に向かって、このチャンスを逃さないようにしてほしい。近畿は問題を多く抱えており、近畿が変われば全国が変わる。要望するからには一緒になって前向きに実行していただくことが大事である」と述べました。

 上総周平近畿整備局長は「建設ものづくりの上で、専門業の職人さんが最も重要であり、今回の『方策』でもその待遇改善に力を入れた。実現までには紆余曲折が予想されるが、知恵を出して頑張っていくことが肝心である。建設業が日本社会の中でしっかりした地位を得るよう、良い意見交換を期待している」とあいさつしました。

 続いて意見交換に移り、各団体からの要望事項に対して整備局の担当者が回答しました。主な質疑は次の通りです。


【地方建設業の安定的な事業の確保に係るインフラ等の維持管理の現状、方針】
(山本正憲近畿建設躯体工業協同組合)

(回答)アセットマネジメント計画により、社会資本を低コストで長持ちさせる方法を検討している。『方策2011』でも通年契約の導入など具体的な方策を提案している。

【ダンピング受注の是正】
(濱野功関西圧接業協同組合理事長)
(回答)ダンピングは品質にも影響を及ぼすため、自治体にも予定価格の事前公表の廃止、総合評価制度の導入などを要望し、一定の前進は得ている。『方策』では下請企業の技術提案の活用や見積を踏まえた入札方式の活用などを提言している。

【ダンピング受注の是正および下請けへの現金払い】
(岩田紳一近畿外壁仕上業協同組合理事長)

(回答)労務費は現金払いとし、手形は120日以内にするよう講習会などで指導している。違反があれば建政部建設産業課に相談してほしい。

【労務費確保のための入札制度の改善】
(瀧俊幸福井県建設専門工事業団体連合会専務理事)

(回答)契約後の対策としては、低入札調査で下請けへのしわ寄せが判明した場合には成績評点を減点する。また『方策』の関連諸施策が具体化された場合は積極的に導入したい。

【登録基幹技能者の積極的活用】
(岩田正吾関西鉄筋工業協同組合理事長)
【公共工事における基幹技能者と造園技能士の活用】
(坂口昌行日本造園組合連合会大阪府支部支部長)

(回答)22年度から標準1型工事で試行しているが、基幹技能者を評価した工事が13件、建設マスター、現代の名工、技能士を含めて評価した工事が4件あり、うち11件で提案社が受注した。本年度はWTO対象を除く全ての工事に対象を拡大して試行していきたい。また発注者協議会を通じて紹介していきたい。

【品質確保のため有資格者企業への優先発注】
(福田政昭ダイヤモンド工事業協同組合近畿支部長)

(回答)基幹技能者同様、試行を拡大していきたい。仕様書に明記するかは今後検討する。

【塗装が主たる工事の塗装工事業界への発注奨励】
(磯部明良大阪府塗装工業協同組合副理事長)

(回答)小さな工事については地域に本店がないと入札に参加できないという要件を定めている。また予定価格5000万円未満のものは工事希望型競争入札方式を採用できるよう配慮している。独法、自治体はそれぞれの発注機関に委ねられているが、そのような意見があることを伝えたい。

【保険未加入企業の排除】
(正司茂希全国建設室内工事業協会関西支部副会長)

(回答)『方策2011』の中で、行政、元請け、下請けが一体となって取り組むべき重要な課題に挙げている。ただ業種、地域により加入率にばらつきが大きいため、実施の全体図を示した上で、1年程度の周知期間を置くことになる。



ニュースTOPへ