建設産業専門団体近畿地区連合会(近畿建専連、山本正憲会長)は9月26日、エル・おおさかで、「消費税のインボイス制度と建設業への影響」をテーマに、令和4年度建設専門業の経営革新支援研修会を開きました。
 開会にあたり、山本会長は「我々を取り巻く経営環境は、CCUS制度、来年10月から始まるインボイス制度、再来年4月から改定36協定など、課題が山積している。皆様はよりスキルを上げ、各社で水平展開していただきたい」とあいさつしました。
 続いて、大阪国税局の山宮聖国税実査官が講師となり、消費税のインボイス制度について説明しました。
 来年10月1日から開始されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、売り手が買い手に対し、正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段です。税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」が適格請求書(インボイス)を交付でき、買い手が仕入れ税額控除の適用を受けるためには、帳簿のほか適格請求書の保存が必要になります。
 適格請求書は▽発行事業者の氏名または名称及び登録番号▽取引年月日▽取引内容(軽減税率の対象品目である旨)▽税率ごとに区分して合計した対価の額▽(税抜きまたは税込み)及び適用税率▽税率ごとに区分した消費税額▽書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称―を記載する必要があります。
 適格請求書発行事業者には▽適格請求書の交付▽適格返還請求書の交付(返品や値引きなど)▽修正した適格請求書の交付▽写しの保存―が義務づけられています。
 また、買い手が仕入税額控除を受けるには、帳簿及び適格請求書などの請求書等の保存が求められます。
 免税事業者からの課税仕入れには6年間の経過措置が設けられています。令和5年10月1日から3年間は80%の控除が可能で、令和8年10月1日から3年間は50%控除できます。
 買い手が簡易課税制度を選択している場合は、適格請求書などの保存が不要です。簡易課税制度は課税仕入分の消費税額を事業区分別の「みなし仕入率」で算出できます。建設業など第四種事業の「みなし仕入率」は70%です。
 適格請求書発行事業者になるには登録申請手続が必要で、登録が完了すると「適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されます。インボイス制度が始まる令和5年10月1日から適格請求書を発行するには、令和5年3月31日までに登録申請手続を行う必要があります。
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 研修会では引き続き、一力哲也近畿地方整備局建設産業第一課長が「最近の建設行政」について講演。建設業の新3K(給与、休暇、希望)を実現するため、技能労働者の賃金引き上げ、工期の適正化、建設キャリアアップシステムなどの進ちょく状況について説明しました。


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